研究課題/領域番号 |
11610090
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
投石 保広 朝日大学, 教職課程センター, 助教授 (00093443)
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研究分担者 |
小椋 力 琉球大学, 医学部・神経精神医学, 教授 (60032330)
松田 俊 広島修道大学, 人文学部, 教授 (50173844)
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キーワード | 性格 / ERP / 事象関連電位 / P300 / 交互作用 / 外向性 |
研究概要 |
本研究の目的は、性格が状況との交互作用を示すことを前提として、再現性のある生理学的なデータを検出することである。特に、脳内の情報処理過程を反映する脳事象関連電位を計測して、内的なプロセスとして性格と状況との交互作用を具体的・客観的に捉らえることである。そして、性格特性の中で、最も基本的な特性である向性(内向性-外向性)と神経症的傾向を取り上げて、多数の被験者からERPを測定して、分析した。 その結果、現在のところ、多数の被験者による分析により、以下の2点が分かった。(1)向性と神経症的傾向との交互作用については、外向群では神経症的傾向の高低では、差はなかった。しかし、内向群では、高神経症的傾向者で、(ERPの)P300の振幅が小さかった。このことは、本研究の目的とした交互作用の重要性を実証した。また、このことは、内向群の中の高神経症的傾向者では、いわゆる内向性の特徴である(中立的な)刺激に対して、多くの処理資源を配分してその課題を遂行するという性格傾向を持っていないことを示唆した。(2)実験時刻について、正午までに実験を開始した被験者と、それ以降に実験を開始した被験者との比較を試みた。その結果、外向群ではその影響は無かったが、内向群では、午後に実施した者でP300が高振幅となった。このことは、実験時刻が、P300の結果の不一致の原因となっている可能性を示唆し、またもや交互作用の重大性を裏付けるものであった。そして、性格と時刻とが本質的な関連性を持っていて、P300の振幅は、午前中では、外向者の方が内向者より大きいが、午後では反対に内向者の方が高振幅であるという交互作用が事実なのかもしれない。このように、性格をもたらすと推定される脳内の内的なプロセスそのものが、時刻という状況と交互作用しているのかもしれない。
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