本年度は『日本國見在書目録』著録書及び著録書の著者に関する研究の最終年度にあたり、当初定めた計画・方法に基本的に即して研究を進めてきた。その概要と実績は以下の通りである。 (一)日本国内外において、主として經部・史部・子部・集部に関する研究資料を収集し補足した。(1)関連目録;(2)関係敦煌文献;(3)本書を引用した古籍;(4)出土古文献;(5)関係研究書および論文;(6)関連研究データベース、など。 (二)本書の經・史・子・集四部について、次の内容を原稿化した。(1)著録書・著録書著者に関する注釈;(2)著録書(成立・内容の構成・伝承・存佚など)・著録書著者(生没年・籍貫・活動・著述など)に関する考証。 (三)日本国内諸写本の調査。(1)国立公文書館所蔵の明治時代写本、(2)東京大学史料編纂所所蔵の写本は調査済み。このほか(3)茨城大学図書館、(4)尊經閣文庫、(5)伊勢神宮文庫、(6)東京都立図書館市村文庫所蔵の各写本について調査を続行しており、3月中旬に終了する予定である。『国書總目録』等により三十ほどの写本の存在が知られるが、これまで、所在不明或いは整理中のものを除く全てについて調査を行ってきた。終了後、調査報告を発表する。 以上の諸作業を行いながら、4年間の調査・研究の成果として、今年度、『日本國見在書目録・刑法家考』(論文、約11万字)の一部を発表した。引き続き残りの部分も掲載予定である。さらに今後発表する論文として次のものがある。(1)『禹歩考』(約2万字)(2)『日本國見在書目録諸版本調査』。
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