研究概要 |
本研究課題の最終年度にあたり、これまでに得られた結果を統合し、analytic deviationが一般のフィルトレーションに関する理論の構築を目標としたが、以下に述べる様な定理が得られた。これはイデアルの随伴次数環に関するLaura Ghezziの結果を一般化したもので、フィルトレーシヨン版への拡張が可能なものになっている。 定理 d次元Cohen-Macaulay局所環AのイデアルIに対して次の4条件をみたすイデアルJ=(a_1,...,a_l)と非負整数rが存在するとせよ:(1)I^<r+1>=JI^r,(2)pがIを含む素イデアルでhtp【less than or equal】i<lならばI^<i-l+r+1>A_p=J_iI^<i-l+r>A_p(但しJ_i=(a_1,...,a_i)),(3)htI【less than or equal】i<l-rならばA/J_i:IはCohen-Macaulay,(4)pがIを含む素イデアルで1【less than or equal】n【less than or equal】rならばA_p/I^nA_pのdepthはhtp-l+r-n又はr-n以上である。このときIの随伴次数環のdepthは 【numerical formula】 の最小値以上になる。 この主張の注目すべき点は、随伴次数環のdepthを評価する為の条件が局所化で保たれるということにあり、それ故にlについての帰納法が可能になる。又、l-htIはanalytic deviationに対応する量と見ることができるので、本研究課題の当初の目標は概ね達成されたと言える。
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