研究概要 |
Andrews-Baxter-Forrester(ABF)模型第II相の頂点作用素による定式化とその自由場による実現の研究を行い次の成果を得た。 1.local heightの取りうる値が{1,2,..,k+1}であるようなABF模型第II相の半無限の列(行)転送行列(typeI頂点作用素)とtypeII頂点作用素は、今野(Comm.Math.Phys.195:373-403,1998)によるq-変形されたZ_k-パラフェルミオン理論の頂点作用素とパラフェルミオンカレントにそれぞれ同一視できることを示し、それらの自由場による実現を与えた。 2.1.で得た頂点作用素のフュージョンにより、栗田et al.(Comm.Math.Phys.179:404-416,1996)で構成されたq-変形されたW_k-代数(特殊化したもの)の生成母関数が得られることを示した。これは神保et al.(Lett.Math.Phys.14:123-131,1987)で見出されたlevel-rank双対性の1つの現れである。 3.指標の比較により、同模型の状態空間がq-変形されたZ_k-パラフェルミオン理論の既約表現空間と同一視できることを示した。また、1.の頂点作用素の積の同空間上でのトレースを計算することにより、模型の形状因子を求めた。 4.同模型のスケール極限を調べ、それがKoberle-Swieca(Phys.Lett.B86:209-210,1979)のZ_k-対称な因子化可能散乱理論を与えること、特にq-変形されたZ_k-パラフェルミオンカレント並びにそれをフュージョンしたものは同理論のκ-1個の粒子の生成作用素(Zamolodchikov-Faddeev作用素)を実現することを示した。
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