研究概要 |
代数体の有限次拡大E/Fが整巾基底(PIB)を持つとは、O_E=O_F[γ]となるγ∈O_Eが存在する事。O_E,O_FはE,Fの整数環。E/Fがガロア拡大の時、それが整正規底(NIB)を持つとは、O_Eが群環O_F[Gal(E/F)]上自由になる事。今年度は、素数次不分岐Kummer拡大のPIBとNIBについて、主に岩澤理論との関連で研究した。 (A)Childs(1977)は、素数次不分岐Kummer拡大E/FがNIBを持つための必十条件を与え、更に、E/FがNIBを持てばPIBを持つ事を示した。私は先ず、PIBを持つための十分条件を与え、E/FがNIBを持つ事とPIBを持つ事の間のgapをある程度定量化した。これを用い、岩澤理論の諸結果を駆使して、PIBを持つがNIBを持たない素数次不分岐巡回拡大の例をたくさん構成した。 (B)pを奇素数,Kを1のp乗根を含むアーベル体,K_∞/Kを円分Fp拡大とする。K_∞/Kの各中間体Knごとに、Kn上のp次不分岐巡回拡大(達)がPIBを持つためのobstructionを岩澤不変量を用いて記述した。特に、"Greenlery予想"が正しければ、十分大きいnで、それらは必らずPIBを持つ事を示した。
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