研究概要 |
本年度の目標は,実数値連続関数全体からなる空間において,積分チェビシェフ系を近似関数系として,(1)積分チェビシェフ系と最良近似,補間の研究,(2)最良近似を求めるためのアルゴリズムの研究(前半)および(3)チェビシェフ多項式の研究(前半)であった。 (1)については,積分チェビシェフ系による積分値補間に関して,ベルンシュタイン-エルデス型の問題を考えた。そして数値計算結果を基にその予想を行った。この内容は,香川大学の岡田順直氏と大学院生の坂森康宏氏との共同研究として,Unsolved Problemsというタイトルの単行本に掲載予定である。 (2)については,研究分担者の浅野考平氏の助言のもとで積分チェビシェフ系による最良近似を求めるアルゴリズムが完成しつつある。このアルゴリズムは,チェビシェフ系による最良近似を求めるのに良く使われるルメの第二アルゴリズムに相当するものである。 (3)については,重み付きチェビシェフ多項式というものを定義した。重み付きチェビシェフ多項式は,従来の第一種および第二種チェビシェフ多項式を特別なものとして含む。その多項式の特徴づけに関する予想問題を(1)で書いた共同研究の中で述べている。 (1),(2),(3)の課題そのものではないが,佐賀大学の西晃央氏との共同で無限チェビシェフ系で張られる閉部分空間を近似空間としたときに,一様ノルムの意味で常に最良近似が存在しないという結果の一般化を行った。この結果については,East J.Approx.に掲載されている(Vol.5,309-315)。
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