研究課題
1 正準交換関係のフォック表現におけるフォンノイマン環の束に現れる因子環の包含について、それが分列包含であるための必要十分条件を求めるのに成功した。これはこの包含の分類の一つの場合を決定したことになり、これから研究をさらに進めようとしている残りの場合の分類を行なう第一歩としての意義がある。この場合の包含関係は、質量0の自由場の局所物理量環の包含を特殊例として含み、従ってそれから生じる二次元共形場に付随する因子環ー部分因子環の包含関係の例を与える。この結果をもちいて質量0の自由場の場合に分裂包含が生じるか研究を進めている。2 作用素の解析には不等式が有用である。従って作用素のなす環である因子環の分析にも有用と考えられる。そこで、多変数の作用素凸関数の特徴づけをイェンセンの不等式の非可換一般化を用いて行なうことを試みこれに成功した。これはいろいろな問題に応用できるものと期待され、本研究の一つの副産物である。3 二次元共形場の幾何学的側面に関して、ある2階微分作用素の閉多様体上の大局的準楕円性の判定基準を見い出し、その応用を与えた。4 二次元共形場を含む量子場の研究手段として、フレシェポワソン環の変形量子化に関し、モワイヤル積の形式的級数の収束性の証明に成功した。これはこの方法の応用に解析的な基礎を与える結果である。5 二次元共形場の満たす偏微分方程式の解の振舞いの解析に関係して、kdv方程式の一つ以上のソリトン解の存在の条件を求めた。また束縛状態の個数の限度を与える公式の導出にも成功した。
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