研究概要 |
様々な分野の人達との討論を通して,非可換微分幾何学の研究というのは結局,非可換である世界をどのように視覚化,直感化した言語にしていくかという研究,つまり非可換である世界そのものの研究ではなく,それを理解しようとしている人間の側の認識様式の研究であることが確認できた。 表現論の主題,共形場に関する物理理論も,このような観点から見直すと新しい視点が得られ,特に量子重力に関して新しい道が見えてくる. この線に沿って,大森はモントリオールで行われた無限次元Lie群論国際シンポジウムで講演した. これまでの幾何学は点描像を絶対視して組上げられていたのに対して,量子論の世界では,「点」の概念が絶対的なものでなくなる例が確認された.これは,まだ一例にすぎないが,原理的には普遍的現象であるように思える.しかも,このようなものであっても計算手段を確立できるという強味があり,新しい数学の崩芽となっているように思われる。
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