本研究は沿面放電をモデル化し、放電を支配しているパラメタを物理的に検討整理し、最終的に放電をシミュレーションによって検討可能なものにすることを目的としている。 これまでの研究成果では放電路中では非線形拡散方程式が成り立ち、放電路先端の境界条件は電流連続の式と進展条件式であり、この2つの条件式から先端電位一定を理論的に導出したことと放電を支配しているパラメタは先端電位、進展特性、移動度の3つであり、これらの関係は独立ではなく2つのパラメタから1つを導出できる関係にあるということが明らかになっていた。 今年度の研究成果は上記の3つのパラメタを進展パラメタと呼び、これらの関係から実験データを用いた放電のシミュレーションをして、その際の導出方法をフローチャートによって簡単化し、それぞれのパラメタの数値を導出して検討を行った。さらに、この解析については本実験システムとは異なる実験データなどの解析についても数的には少ないが行った。さらに、実験結果とモデルを対応させながらモデルにおける進展開始条件および進展停止条件について検討して1つの捉え方としてこれらの条件を構築できた。これらの成果によって本モデルの枠組みはできたといえる。しかしながら、まだ完全となるまでには検討していかなければならない課題も残されているので、1つずつクリアすることで、コンピュータにより実験条件の入力だけで放電をシミュレーションできるようなプログラム(プロトタイプ)の作成が可能なものとなる。
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