本研究は放電進展現象を導電性円柱形の放電路の先端部が周囲のガスを気相からプラズマ相に変換しながら一定方向に高速度で進農するいわゆる相転移問題としてモデルを構築し、そのモデルによる理諭と実験から得られる結果とを対照させながらモデルの完成を実現したものである。以下に、これまで3年問に及ぶ研究成果の概要を示す。 1.放電路中では非線形拡散方程式が成り立ち、放電路先端の境界条件は電流連続の式と進展条件式であり、この2つの条件式から先端電位一定を理論的に導出したこと 2.非線形拡散方程式によると印加電圧と先端電位を与えて電圧、時間のスケール変換を行うと進展長と放電路の電位分布が一意に定まる 3.誘電体の厚さが25μm〜75μmの範囲では厚さと先端電位はほぼ比例関係にある 4.放電を支配しているパラメタは先端電位、進展特性、移動度の3つであり、これらの関係は独立ではなく2つのパラメタから1つを導出できる関係にあることがわかった 5.この3つのパラメタを進展パラメタと呼び、これらの関係から実験データを用いた放電のシミュレーションをして、その際の導出方法をフローチャートによって簡単化し、それぞれのパラメタの数値を導出した 6.解析について本実験システムとは異なる実験データなどの解析を行った 7.実験結果とモデルを対応させながらモデルにおける進展開始条件および進展停止条件について検討して1つの捉え方としてこれらの条件を構築した
|