本研究ではITS(Inteligent Transportation System)における情報交換のための通信インフラとして、効率良く運用可能な非同期ランダムアクセスの開発を目標としている。高速FH-SS(fast Frequency Hopping : fast FH-SS)を効率の良い非同期ランダムアクセスシステムとして運用するため、OCC(one coincidence code)拡散符号とAP-QCP M-同期検波を組み合わせた方式が本研究の核心である(遅延検波を用いた方法の開発は平成9-10年科学研究費補助金・課題番号09650396で行った)。fast-FHで同期検波を実現した方法はまだ報告されていないが、これは高速周波数ポップに伴う位相不連続を補償する方法が考案されていないためである。平成11年度には基本となるCPM変調方式にAP-QCP M を適用して、その直線位相区間において周波数ホッピングを行わず、パイロットシンボルを送信する方法により同期検波が可能であることを示すことが目標である。上記を、コンピュータシミュレーション(SUN ULTRA、課題番号09650396で購入したもの)での証明及びハードウエア(本課題で購入:HP E4 433B RF帯任意変調波形生成器)による実現で明らかにした。現時点における証明は未だ厳密なものでなく伝送チャンネルはAWGNであるし、ハードウエア装置では、逆拡散が完全に可能であると仮定した。周波数ホップによる位相誤差補正はパイロットシンボルを出来るだけ少なくする方法を考え出す必用があるので、効率の向上は次年度の課題となっている。パイロットシンボルの効率の課題は、本システムが実際に運用されるフェーシングチャネルにおいて一層重要な課題である。また、ハードウエアでの周波数ホップを用いた実証も次年度の課題である。これらの成果は平成12年度に順次公表してゆく予定である。
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