研究課題/領域番号 |
11660141
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丹下 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20179922)
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研究分担者 |
益守 眞也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50282702)
鈴木 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40012091)
八木 久義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80191089)
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キーワード | スギ高齢木 / 水分特性 / 光合成 / 水ストレス / P-V曲線法 / 細胞弾性率 / 接ぎ木 |
研究概要 |
高齢木と苗木の葉を交互に接ぎ木することによって、遺伝的性質の同じ葉が高齢木の樹冠という環境条件に対して示す反応を調べることによって加齢に伴い樹高が高くなることに対する樹木の環境適応機構を明らかにすることを目的に(1)接ぎ木実験と(2)環境生理特性の測定を以下の通り行った。 (1)接ぎ木実験 東京大学千葉演習林において、高齢木に苗木の葉の接ぎ木を行った。また、東京大学田無試験地において、高齢木の葉を苗木に接ぎ木した。順調に活着すれば、来年度に光合成や水分特性の測定を行う予定である。 (2)環境生理特性 東京大学千葉演習林において、スギ高齢木と苗木の葉の光合成特性を比較した。高齢木の葉は、苗木に比べて気孔コンダクタンスが小さく、光合成速度も小さかった。二酸化炭素濃度-光合成曲線から求めたカルボキシル化効率が高齢木で低かったことから、高齢木では苗木に比べて光合成機能が低下していることが示唆された。 東京大学田無試験地において、高齢木と苗木の葉のPressure-Volume曲線(P-V曲線)を、夏季と冬季に、夜明け前と日中に採取した枝条、および夜明け前に採取し一昼夜吸水させた枝条について測定し比較した。冬季に比べて夏季の葉の方が、水ポテンシャルが0の時(飽水時)の乾重あたりの含水率が大きいこと、P-V曲線の日変化が大きいことが明らかになった。また、苗木に比べて高齢木の葉は、乾重あたりの含水率が低いこと、P-V曲線の日変化が大きいことが明らかになった。夏季の葉では、夜明け前に採取した葉に比べて日中の葉の方が、膨圧を失う時の水ポテンシャルの値が低い傾向が認められた。この反応は、溶質の増加によるものではなく、細胞体積が減少することによる乾重あたりの含水率の低下によって起きていた。
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