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2000 年度 実績報告書

実験的手法によるスギ高齢木の環境適応機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 11660141
研究機関東京大学

研究代表者

丹下 健  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20179922)

研究分担者 益守 眞也  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50282702)
鈴木 誠  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (40012091)
八木 久義  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80191089)
キーワード高齢木 / 水ストレス / P-V曲線法 / 接ぎ木 / 水ポテンシャル / 膨圧 / 細胞外水量 / 体積細胞弾性係数
研究概要

樹木は、加齢にともなって樹高が高くなり、葉の着生高も高くなる特性を持つ。着生高が高くなるほど、重力に逆らってより高い位置まで水を引き上げる必要が生じるため、高齢な樹木の葉は、苗木と比べてより乾燥した水分生理状態におかれている。日中の最も水ポテンシャルが低下する時にもガス交換を維持するための何らかの適応的な反応を樹高の高い高齢木が示すのかどうかを知るために、樹高の高いスギと、そのスギから接ぎ穂を採取して接ぎ木したスギ苗木および実生スギ苗木について葉の水分特性の日変化を比較した。高樹高木の葉は、苗木の葉と比べて含水率が低く、また透ポテンシャルが低く、乾燥に対する耐性が大きかった。さらに、高樹高木では、日中に浸透調節物質が増加し、また細胞外水量の減少によって細胞内水量の減少が抑えられ、細胞壁の含水率の低下によって弾性係数が大きくなる(硬くなる)ことが明らかになった。このような反応は、日中の水ポテンシャルの低下を抑制するとともに、膨圧を高く維持するのに機能していた。高樹高木の葉がこのような反応を示す理由として、葉の体積当たりの細胞壁の割合が高いために、全水量に対する細胞外水量の比率が高いことを考えた。一般に、高樹高木の葉は、乾燥地の植物の葉と同じように、苗木の葉と比べて小型で厚くなることが知られており、本研究で明らかになった高齢木の短期的な乾燥耐性の発現は、乾燥条件下で起きる葉の形態的な変化に対応したものと考えた。このような反応は、夏季の葉で顕著であり、冬季の葉では明確ではなかった。夏季に比べて冬季の葉は、膨圧を失うときの水ポテンシャルが低く、日中であっても生理状態に影響する水欠差が生じにくいためと考えた。

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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