研究課題/領域番号 |
11670091
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
麻川 武雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50028362)
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研究分担者 |
岡本 英昭 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70315183)
高野 正子 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (00154807)
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キーワード | グアニル酸シクラーゼ / cyclic GMP / ATP / 情報伝達 / 環状ヌクリオチド |
研究概要 |
<目的> ATPとDithiothreitol(DTT)により活性が調節される新規の膜結合型グアニル酸シクラーゼ(ATP/DTT-stimulated GC)をラット肺に見い出し、その性質と活性調節機構の一部を明らかにした。 <方法> ラット肺より調製した膜分画、さらにATP/DTTにより促進される性質を有したまま可溶化した標品、親和クロマトグラフィーの溶出分画でのGCなどを実験に用いた。 <結果と考察> このGCにはATP/DTTにより活性が促進される状態、すなわちsensitive stateと、活性が促進されないinsensitive stateの2つの状態が存在することを見い出した。AMPPNP+DTT存在下の条件でPreincubateすると、sensitive stateからinsensitive stateへ変換された。また、同じ標品をATP/DTT共存下の条件でpreincubateすると、insensitive stateからsensitive stateへ変換され、ATP/DTTによる活性の促進が回復した。Sensitive stateからinsensitive stateへの変換はprotein phosphatase-1の阻害剤であるオカダ酸により、部分的に阻害された。Insensitive stateからsensitive stateへの変換はCaM kinase IIの阻害剤、KN-62,KN-93により阻害された。一方、WGA-agaroseの溶出分画のGCは、粗可溶化標品に含まれる因子の共存下でpreincubateすることにより、sensitive stateへ変換される可能性を示す結果を得た。 <結論> 上記の新規GCにおいて、ATP/DTTにより活性が促進されるsensitive stateから活性が促進されないinsensitive stateへの変換は、protein phosphataseによる脱リン酸化反応によると考えられ、次いでinsensitive stateからsensitive stateへの変換は、protein kinaseによるタンパク質のリン酸化反応によると考えられる。阻害薬の実聯吉果より、insensitive stateへの変換には、protein phosphatase-1が部分的に関与し、またsensitive stateへの変換にはCaM kinase IIが関与している可能性が考えられる。
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