研究概要 |
DNAトポイソメラーゼII遺伝子を標的としたPCR法による病原性真菌の同定と感染の早期診断法の開発を目的として、代表的な病原性真菌(カンジダ属、アスペルギルス属、クリプトコッカス属)のトポイソメラーゼII遺伝子の塩基配列を解析してきた。これまでに、カンジダ属酵母(10種)については約2,300bp、アスペルギルス属(6種)については約3,500bp、クリプトコッカス属(3種)については約2,500bpの範囲で塩基配列を明らかにした。アスペルギルス属とクリプトコッカス属ではイントロンが存在し、これの位置、長さ、数は明らかに種による特徴が示された。これらの塩基配列はそれぞれ異なることから、同定や診断のためのプライマーのデザイン部位として有効と考えられた。10種カンジダ属酵母についてはいずれにもイントロンは存在しなかったが、種により特徴的な塩基の挿入や欠失が認められた。さらに、カンジダ属については、PCRに用いる種特異的プライマーをデザインした。これらは極めて特異性が高く、代表的な真菌38種から得たgenomic DNA mixtureから特異的に目的のカンジダ種を検出することができた。この成果については現在論文発表のための準備に入っている。また、アスペルギルス属およびクリプトコッカス属については、全長の塩基配列の解析を進めると共に同定のためのプライマーデザインの段階である。
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