研究概要 |
本年度はカンジダ属(-12種:C.albicans,C.dubliniensis,C.tropicalis I,C.tropicalis II,C.parapsilosis I,C.parapsilosis II,C.krusei,C.kefyr,C.glabrata,C.guilliermindii,C.lusitaniae,Y.lipolytica)およびアスペルギルス属(5種:A.fumigatus A.niger,A.nidulans,A.terreus,A.flavus)を迅速に検出・同定する遺伝子診断法、特にPCR法による診断法の確立を目的とした。これらの真菌種のDNAトポイソメラーゼ遺伝子の塩基配列を解析し、カンジダ属酵母では約2,300bp、アスペルギルス属は4,000から4,700bpの塩基配列を決定できた。これらの配列を基にデザインした種々のspecies-specfic primerとdegenerate primerの特異性を検討したところ、高い特異性が確認された。さらに、これらのプライマーをグループ化し、プラーマーミックスを用いたPCR検出法を考案した。これは、一つのミックスで4種類のカンジダ種が増幅バンドのサイズの違いから同定できるもので、最終的には4種類のミックス(PsI,PsII,PsIII,PsIV)により17種の真菌種の同定が可能となった。さらに、本方法を臨床検査材料中の真菌種の検出と同定に応用した結果、約85%がPCR陽性であった。また、検体の中には複数の真菌(C.albicansとC.glabrata)の混合感染を示すものもいくらかあることが確認できた。
|