研究概要 |
生体内での意義が注目されるCD40L-CD40によるヒト単球活性化機構を解析し、以前報告したLPSあるいはIFN-γを介した刺激経路と比較検討を行った。 ヒト単球に対してIFN-γあるいはGM-CSFによりCD40が強く誘導された。CD40を介したシグナル伝達はこれまでCD40Lを発現させた細胞との共培養により確認されていたが、今回の実験結果より抗CD40抗体のみにてもTNFα,PGE2発現が強力に誘導されることから、他のco-stimulatory moleculeの介在を必要としないことが明らかになった。PGE2誘導はCOX-2遺伝子発現誘導に基づくが、細胞内のシグナル伝達過程でMAPキナーゼさらにはNFκBの活性化が確認された。CD40L-CD40によるMAPキナーゼ活性化はLPSによる活性化とは異なった挙動を示し、IL-4やIL-10によるTNFα,PGE2産生制御過程においても相違が認められた。 以上の結果より、RAなどの慢性炎症性疾患における単球・好中球活性化はLPS刺激下とは異なることが考えられた。RA患者顆粒球における活性化にはERK2,p38 MAPキナーゼ経路が重要であった。現在、p38 MAPキナーゼを阻害する様々な化合物に対して、RAモデル実験動物に対する治療効果判定、ならびにヒトRA患者白血球に対する効果判定を実行中で、新しいRA治療薬あるいは抗炎症薬の開発にも着手している。
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