研究課題/領域番号 |
11670599
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
栂 博久 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (90142554)
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研究分担者 |
上田 善道 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (50271375)
高橋 敬治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50004685)
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キーワード | 肺胞上皮細胞 / 急性呼吸窮迫症候群 / 肺胞上皮損傷 / アポトーシス / Fas / Fas Ligand / Tリンパ球 / Western blotting |
研究概要 |
ヒト急性呼吸窮迫症候群(ARDS)および正常肺について、Fas/Fas ligand(FasL)の発現を検討し、発現したFas/FasL系がアポトーシス誘導機能を有するかを検討した。【方法】27例のARDS剖検肺について、DNA電気泳動とTUNEL法によりアポトーシスを検出し頻度を測定した。Western blottingと免疫組織染色にりFas/FasL蛋白の検出と発現細胞の同定を行った。Fas/FasLのmRNAはRT-PCRで検出した。次に、新鮮凍結肺組織切片にFas陽性Jurkat T細胞を加え、同細胞に対するアポトーシス誘導頻度をin situでDapi蛍光染色により測定した。また、抗FasL抗体を前処置することにより抑制実験を行い、アポトーシス誘導の特異性を確認した。【結果】硝子膜形成期と器質化期早期のARDS肺では高頻度に肺胞上皮細胞のアポトーシスが見られたが、急性期におけるアポトーシスは少なかった。対象健常肺ではアポトーシスはほとんど見られなかった。FasはARDSの全期に検出された。FasLは急性期の肺胞上皮細胞に強く発現していたが、硝子膜形成期と器質化期では減弱する傾向が見られた。ARDS肺組織はJurkat細胞のアポトーシス誘導は抗FasL抗体でほぼ完全に抑制された。【考案】急性期のARDS肺胞上皮細胞におけるFasLの発現は、肺胞上皮自身のアポトーシス誘導だけでなく、マクロファージ、リンパ球など炎症細胞に対するアポトーシス誘導に関与しており、肺胞上皮の保護防御機能を担っている可能性が示唆された。
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