研究課題/領域番号 |
11670753
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小池 健一 信州大学, 医学研究科, 助教授 (40143979)
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研究分担者 |
上條 岳彦 信州大学, 医学部・小児科, 助手 (90262708)
上松 一永 信州大学, 医学研究科, 講師 (60262721)
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キーワード | 肥満細胞 / Stem cell factor / レチノイン酸 / インターロィキン6 / CD34陽性細胞 |
研究概要 |
レチノイン酸には、種々の細胞の増殖や機能に対しての作用が報告されているが、肥満細胞に対する作用は不明である。そこで、培養ヒト肥満細胞を用いてレチノイン酸が肥満細胞の増殖や分化に及ぼす影響について検討した。(方法)ヒト臍帯血CD34陽性細胞をSCF存在下で培養し得られた肥満細胞に、種々の濃度のATRA、9-cis RAを加えて培養し、細胞数や細胞内ヒスタミン量などを検討した。RAR、RXR各々の核内レセプターの発現をRT-PCRにより検討し、それぞれの特異的agonistによる影響についても検討した。さらにsingle cell cultureやcolony assay法を用いてのATRAの作用の検討も行った。(結果)ATRA、9-cis RAは肥満細胞の増殖を濃度依存性に抑制し、その作用はIL-6よりも強力であった。IL-6は細胞のサイズ、細胞内ヒスタミン量を増加させるのに対し、レチノイン酸は両者を減少させた。培養肥満細胞にはRAR-α、RAR-β、RXR-α、RXR-βの発現がみられ、RAR-α agonist(Ro 40-6055)はATRAと同等の効果がみられたが、RXR agonistにはその効果はみられなかった。また、single cell cultureによる検討で、ATRAはCD34陽性細胞からの肥満細胞の増殖を抑制した。(結語)レチノイン酸は肥満細胞の増殖や分化を抑制する。その作用は主としてRAR-αを介した直接的な作用である。レチノイン酸のアレルギー疾患治療戦略への応用が示唆される。
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