新規膵β細胞特異的遺伝子(BRG1)の構造と機能に関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11671131
• 研究機関: 大分医科大学
• 研究代表者: 浜口 和之 大分医科大学, 医学部, 講師 (60180931)
• 研究分担者: 若菜 茂晴 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, 研究員 (90192434) ; 伊奈 啓輔 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20203193)
• キーワード: マウス / 膵β細胞 / Differential display / MIN6 / スピードコンジェニック / NODマウス / cDNA

研究概要

膵β細胞において細胞特異的に発現し、グルコースに応答性を示す新規遺伝子を発見し、その機能を解明するのが本研究の目的である。我々はDifferential display法を用いて、マウス膵β細胞に特異的に発現し、グルコースに反応して発現の増加する遺伝子の単離に成功し、BRG1と命名した。
今年度は5'端のシークエンスをプローブにして、MIN6cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、BRG1cDNAクローンの全長をほぼ単離することができた。新しく得られた領域の塩基配列について、BLASTで検討したところ、やはりBRG1は既知のどの遺伝子ともはっきりとしたホモロジーを持たない新規遺伝子であることが判明した。また、5'側に膜貫通領域を1カ所有する膜蛋白であることも判明した。この遺伝子はマウス第4染色体テロメア側にマップされている。この領域にはインスリン依存型糖尿病モデルであるNODマウスの糖尿病感受性遺伝子Idd9およびIdd11が存在する。
BRG1蛋白の抗体については、現在作成中である。また、スピードコンジェニック法によるNODコンジェニックマウスの作製も進行中である。
今後は、抗体を使って、マウス膵島の免疫染色を行い、膵β細胞に特異的に染色されるか否かを検討する。また、in situ hybrodizationによって、膵臓や全身の各臓器における発現の有無を調べる。また、BRG1蛋白のインスリン分泌との関係について、in vitroの解析を進める。

研究成果

• [文献書誌] Hamaguchi K, et al.: "Analysis of tumor necrosis factor-β promoter polymorphism in type 1 diabetes."Tissue Antigens. 55. 10-16 (2000)
• [文献書誌] Kusuda Y,Hamaguchi K, et al.: "Novel mutations of the ATP7B gene in Japanese patients with Wilson disease."J.Hum.Genet.. 45. 86-91 (2000)
• [文献書誌] Kawajiri H, et al.: "Expression of arachidonate 12-lipoxygenase in rat tissues : a possible role in glucagon secretion."J.Histochem.Cytochem.. 48. 1411-141* (2000)
• [文献書誌] Cong ND,Hamaguchi K, et al.: "The I/D polymorphism of angiotensin-converting enzyme gene but not angiotensinogen gene is associated with insulin response to oral glucose in Japanese."Proc.Soc.Exp.Biol.Med.. 220. 46-51 (1999)
• [文献書誌] Hamaguchi K, et al.: "Novel germline mutations of the MEN1 gene in Japanese patients with multiple endocrine neoplasia type 1."J.Hum.Genet.. 44. 43-47 (1999)
• [文献書誌] Hamaguchi K, et al.: "Hb Ube-2 in a diabetic case with an abnormally low HbA1c value."Intern.Med.. 38. 800-803 (1999)