研究課題/領域番号 |
11671187
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
久保 宏隆 東京慈恵会医科大学, 外科学第2教室, 助教授 (70119791)
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研究分担者 |
金田 利明 東京慈恵会医科大学, 外科学第2教室, 助手 (40266606)
加納 和孝 東京大学, 大学院・医学系研究科・代謝生理化学, 助手 (70111507)
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キーワード | 乳癌ホルモン療法 / 乳癌細胞 / アポトーシス / 抗エストロゲン薬 / 感受性試験 / ミトコンドリア呼吸系酵素 / エストゴゲン受容体 |
研究概要 |
本研究は乳癌の外科手術の直後から、患者個々の切除乳癌組織を用いて、患者にもっとも適合した抗エストロゲン剤を中心とするの選択を短時間の内に行い、術後の化学療法に役立てることを目的とするものである。今年度に行った実験と結果は以下の通りである。1.培養乳癌細胞MCF7を用いてタモキシフェン、トレミフェン、トリオキシフェン、TAT-59、ドロロキシフェン等の抗エストロゲン薬のもつアポトーシス誘導能の比較を行った。この結果それぞれの細胞傷害作用に差があることが認められた。この差が薬剤あるいは細胞機能のどのような差によるのかは現在検討中である。2.乳癌組織の微細断片をタモキシフェン、トレミフェン、トリオキシフェン、TAT-59、ドロロキシフェン等の抗エストロゲン薬で処理した後、凍結切片を作成した。この切片を用いてTunnel法あるいは断片化DNA染色法を用いてアポトーシスを起こした細胞を検出した。薬剤による違いは認められるものの、現在の段階では薬剤の濃度、処理時間などについて更なる検討が必要と考えられる。3.抗エストロゲン剤の使用に際しては乳癌細胞に発現しているエストロゲン受容体の種類が非常に問題となる。それはエストロゲン受容体アルファが多く発現している乳癌細胞はタモキシフェン等によりその増殖を強く促進されるからである。これに関しては現在エストロゲン受容体アルファの免疫組織的染色法の開発を行っている。4.抗エストロゲン剤によるアポトーシス誘導の詳しい機構を解析することはこれらの薬剤の効果を検討する上で重要であると考えられる。そこでタモキシフェンの細胞への影響をアポトーシス誘導の重要なステップと考えられるミトコンドリア呼吸系酵素複合体への影響を中心として解析した。この結果タモキシフェンはこれら酵素複合体のいくつかを阻害することを見いだした。現在他の薬剤についても検討中である。
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