研究課題/領域番号 |
11671408
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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研究分担者 |
田川 雅敏 千葉県がんセンター, 病理研究部, 部長 (20171572)
横田 尚樹 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (00273186)
西澤 茂 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (40135257)
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キーワード | gene therapy / bystander effect / ganciclovir / brain tumor / herpes simplex virus-thymidine kinase |
研究概要 |
Fisherラット脳内にsyngeneic 9L細胞を移植すると生着しラットは100%腫瘍死するが、9L細胞移植翌日に同部位にHerpes simplex virus-thymidine kinase(HSVtk)遺伝子を導入したC6細胞(C6tk、Fisherラットに対しallogeneicな細胞)を移植しganciclovirを腹腔内投与するとC6tk細胞のみならず一部のwild-type 9L細胞(9Lwt)もbystander効果により死滅し、9Lwt細胞のみを移植されたラットに比し長期生存することを平成11年度の研究において示した。この実験モデルは悪性グリオーマに対し、腫瘍摘出後術野にtk遺伝子を導入した脳腫瘍細胞株を散布し、後日ganciclovirを全身投与することによりbystander効果を発現させて残存腫瘍を治療しようという臨床応用を前提にしている。しかしながら9LwtとC6tk間のbystander効果は9Lwtと9Ltk間のそれに比し弱く、bystander効果に重要であると考えられているgap結合蛋白であるconnexin43の発現量がC6細胞では9L細胞に比し少ないことがその原因の一つと考えられた。本年度の研究では9LとC6の間のbystander効果をin vitroおよびnude mouse皮下腫瘍モデルを用いたin vivo条件で詳細に検討した。この結果9Lwt/9Ltkおよび9Lwt/C6tkの組み合わせのbystander効果は強いが、C6wt/9LtkおよびC6wt/C6tkの組み合わせのそれは弱いことがわかった。C6wtとC6tkの組み合わせでtarget細胞であるC6wtにconnexin遺伝子を導入すると(C6cx/C6tk)bystander効果は増強された。このことはtarget側(wt細胞)のconnexin発現がeffector側(tk細胞)のそれより重要であることを示している。現在の遺伝子導入効率が高々10%であることを考慮するとHSVtkとganciclovirを用いた「自殺遺伝子療法」ではbystander効果を最大限に発揮させることが治療成功につながり、本実験の結果はその戦略に示唆を与えるものと考えられた。
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