研究課題/領域番号 |
11671497
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
石部 裕一 鳥取大学, 医学部, 教授 (40122014)
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研究分担者 |
西村 友紀子 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (50304233)
山崎 和雅 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (00304220)
稲垣 喜三 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (40184717)
岡崎 直人 鳥取大学, 医学部, 助手 (30032204)
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キーワード | 一酸化窒素 / 体外循環 / 心臓外科手術 / 呼気 / 肺障害 / 一酸化窒素測定 |
研究概要 |
手術患者で麻酔中に一呼吸毎にNO産生量をリアルタイムで測定できるシステムを構築した。すなわち鋭敏に微量のNO分析が可能な化学発光NO分析装置からの信号と、別の測定機器からの呼気炭酸ガス濃度と呼吸流速の信号を同時にコンピューターに取り込み、時相を合わせて演算処理を行うと、呼気最大NO濃度、呼気終末NO濃度の検出、およびNO呼出量(V_<NO>)の算出が可能となる。この結果は平成11年日本麻酔学会で報告し、さらに理論的裏付けと精度を上げる研究を行っている。 手術患者の呼気NO分析のためには、化学発光法によるNO測定に対する吸入麻酔薬の影響の有無を検討しておく必要が生じた。そこで、in vitroの実験系で、ハロセン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルランによる干渉作用を調べたところ、これらハロゲン化吸入麻酔薬は、何れも実際のNO濃度を過小評価することが明らかになった。この結果をまとめた論文はBrit J Anaesthに平成12年5月掲載予定である。 体外循環を用いる成人の開心術症例を17例を対象として、術中から術後1日目まで、呼気NO分析と換気機能検査、循環動態諸量の測定、血液ガス分析を行い、両指標の関連について検討した。その結果肺からのNO呼出量は体外循環終了後から低下し始め、術後6時間で最小となり、術後16時間では上昇に転じること、またこのNO呼出量の変化は肺動脈圧、肺コンプライアンス、ガス交換の変化と生理学的に一致するが明らかとなった。 以上の結果から手術患者の呼気NO測定は、手術に関連した肺血管障害の非侵襲的な指標に成るものと期待され、さらに生化学的な指標との関連を検討すると共に、本測定法で得られるNO呼出量の生理学的意義についても検討する予定である。
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