研究概要 |
我々は本年度の研究において以下の各項目に関して遂行してきた。 1.メタロチオネイン(MT)枯渇不死化細胞の作製とその特性の検討 MT枯渇化線維芽(MT-/-)細胞にSV40T抗原をトランスフェクションすることにより、不死化細胞を樹立した。同時に対照(MT+/+)の線維芽細胞も同様に不死化細胞を樹立した。これらの細胞を比較検討した結果、不死化した細胞は細胞周期が若速くなるがMT-/-細胞は、金属によるMTの誘導合成は認めなかった。加えてMT-/-細胞は、カドミウムに対して高感受性をしたが、亜鉛・銅・水銀・ニッケルについてはMT+/+細胞と有意な差を認めなかった。MT+/+細胞と抗酸化因子の背景に差認めず今後の酸化とMTの検討に利用できると思われた。以上の結果は、"Simian virus 40-transformed metallothionein null ce showed increased sensitivity cadmium not to zinc,copper,mercury or nickel."Life Science誌に報告した。 2.メタロチオネイン(MT)枯渇化マウスに対する N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)による膀胱腫瘍発生の検討 MT枯渇化マウスおよび対照マウスに対して BBN を経口投与し膀胱腫瘍の発生に関して検討した。同時に亜鉛前投与による瘍発生の抑制効果に関しても検討した。MT枯渇化マウスは対照マウスに比して腫瘍の発生頻度は高く、亜鉛の前投与によ腫瘍発生の抑制効果は認めなかった。これに対して対照群は、亜鉛前投与による抑制効果を認めた。以上よりMTは腫瘍発の防御因子として働く可能性が示唆された。以上の内容を"Metallothionein modulates the carcinogenicity N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine in mice" Carcinogenesis誌に報告した。
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