研究概要 |
肝糖新生に関わる律速酵素として重要な酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)のグルココルチコイドによる転写調節について検討を行った。PEPCK遺伝子のグルココルチコイドによる転写誘導はglucocorticoid receptor(GR)のみならずchicken ovalbumin upstream promoter-transcription factor I(COUP-TFI),hepatocyte nuclear factor4(HNF4),hepatocyte nuclear factor3(HNF3)がPEPCK遺伝子のプロモーター上に作用することによりグルココルチコイドに対して100%の応答を行えることが既に明らかとなっている。そこでこれら各々の転写因子間の相互作用について詳細に検討した。その結果、GRとHNF3の相互作用が極めて重要であることが、functional interactionおよびphysicalinteractionを調べるassayにより確かめられた。さらに,COUP-TFIのC-terminal領域がグルココルチコイドに対するPEPCK遺伝子の転写誘導に必要な機能領域であることも判明した.そしてCOUP-TFIが核内の介在因子の中でcoactivatorと呼ばれる因子と相互作用することも判明し、しかも上述のC-terminal領域がその機能領域であることが判明した。 一方、妊娠時のPEPCK遺伝子発現については、妊娠中を通じて有意な変化を認めなかった。ただし、肝臓の糖新生についてはPEPCKを介する経路とトリアシルグリセロールを介する経路も考えられ、他の経路について現在検討中である。今後妊娠時の現象を把握した上で再検討を行う予定である。
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