研究課題/領域番号 |
11671754
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
若倉 雅登 北里大学, 医学部, 助教授 (50137931)
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研究分担者 |
市辺 義章 北里大学, 医学部, 講師 (70265700)
川上 倫 北里大学, 医学部, 教授 (60177649)
山本 昇 北里大学, 看護学部, 教授 (10050543)
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キーワード | 網膜 / ミュラー細胞 / 神経伝達物質 / ドパミン受容体 / TUNEL法 / L-dopa / NMDA / non-NMDA |
研究概要 |
前年度の研究では、培養ミュラー細胞にドパミン受容体D1、D2アゴニスト、アンタゴニストを用いた細胞内カルシウム濃度測光、および高倍率ビデオ増感顕微鏡による細胞内粒子活動性の観察から、同細胞にこれらのドパミン受容体が発現していることを証明した。高濃度ドパミンはニューロンにアポトーシスを惹起する一方、近年ドパミン自体に神経保護作用があることが明らかとなり、脳神経系の変性疾患にドパミンアゴニストやドパミン前駆体L-dopaを用いた治療が再認識されている。本年度は、ドパミンおよびL-dopaが網膜ニューロンとミュラー細胞に対し、いかなる影響があるかを中心に研究を行った。 1)L-dopaを用いた検討 家兎網膜から既報の方法でミュラー細胞培養を作成し、ニューロンは生後1-4日の幼若ラット綱膜から得て、混合培養した。これらの細胞にL-Dopaを100μM、1μMおよび10nMの濃度を1時間作用させた。またL-dopa前投与後、神経毒性アミノ酸であるN-methyl-D-aspartate(NMDA,2mM)またはnon-NMDAであるAMPA暴露させた細胞を検討した。断片化したDNA末端を組織化学的に検出するTdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling(TUNEL)変法を細胞死を検出に用いた。その結果、L-Dopa100μmの投与では、脱落するニューロンが多く、それ以下の濃度の場合は対照と有意差がなかった。NMDA暴露では1μM以下の濃度でのL-Dopa前投与がニューロン、ミュラー細胞の細胞死を抑制した。また、AMPA暴露では10nMでのL-Dopa前投与でニューロンの細胞死を抑制した。L-Dopaは培養網膜ニューロンおよびミュラー細胞に対し高濃度では細胞障害性に作用するが、低濃度での前投与は神経毒性アミノ酸誘発細胞死を抑制するという二面性があることがわかった。 2)D1、D2アゴニストの前投与による検討 これも、上記と同様の方法に加えComet法を用いて、AMPA,NMDAニューロン毒性に対する細胞死抑制の有無を検討中である。
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