研究概要 |
平成12年度はイメージインテンシファイアによる「ひずみの修正」と「プロジェクタとモニタ」利用による精度について検討を行った。まず,「ひずみの修正」では,I.I.のひずみ計測のため,直径1mmの鉛箔を40mm間隔に配置したファントムを製作し撮影した。ファントム撮影により得られた画像をDigital Video RecorderでDVテープに記録し,このデータをコンピュータに取り込み(オリジナル画像),パブリックドメインソフトのNIH Imageを使用し,鉛箔間の距離,角度を計測した。その結果上下左右に中心に向かって縮小し,外方に向かって拡大する円弧状のひずみが見られた。また,上下的には上方と下方で拡大率が異なり,下方の方が拡大が大きかったが,このひずみは本装置独特のものと考えられた。左右的には中心に行くほど小さく外方にに行くほど大きくひずみ,通常のI.I.に見られるひずみであった。これらのひずみは,Adobe Photoshopの球面変形フィルタを何度か適用することにより,補正することができた。その結果,長さ,角度共に標準偏差が小さくなり,補正処理の有効性が確認されたため,この一連の補正処理を自動化した。ひずみ補正画像での40mmは99.0ピクセルに相当したので,1ピクセルは,0.40mmになる。同一測定部位で標準偏差が最も大きかった場合で1.3ピクセルであり,個人の測定精度は最大1mm以内に収まっている。これらが完成した後,計測時の誤差がプロジェクタで投影した場合とモニタ上で計測した場合違いがあるかどうか検討した。プロジェクタでは,スクリーン上でほぼ10倍に拡大した。卒業1年目の歯科放射線科大学院生1名,歯科放射線学会指導医2名,歯科放射線学会認定医1名,言語聴覚士1名,矯正歯科学会認定医1名,補綴歯科学会認定医1名計7名で測定した結果,両者間にほとんど差は見られなかった。しかし,プロジェクタの方がわずかながら,標準偏差が大きく,モニタで測定したほうが小さかった。このため,今後の検討はモニタを用いて行うこととした。
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