研究概要 |
本研究では顎骨における骨粗鬆症の病態を明らかにするために卵巣摘出した家兎の下顎骨の変化を骨形態計測学的に解析した。実験には12週齢の雌性日本白色家兎(体重約3.5Kg)12匹に対して下顎切歯を抜歯後12週間経過させてから以下の実験を行った。 家兎を2群に分け,実験群に対してはる卵巣摘出術を施行した。対照群に対しては卵巣を挙上後,切除することなく元へ戻す偽手術を施した。実験期間は12週間とし,実験終了後直ちに屠殺して下顎骨を摘出しVillanueva bone stain液にて染色後,通法に従ってポリエステル樹脂にて包埋した。次いで厚さ約15μmの非脱灰研磨標本を作製後,骨形態計測専用画像処理システムを用い,海綿骨梁の動態を解析した。その結果,卵巣摘出によりtrabecular numberの有意な減少とtrabecular separationの有意な増加が認められた。また,相対類骨量,単位類骨量,類骨層幅および平均類骨層幅が卵巣摘出によって全て有意な増加を示した。一方,骨吸収に関しては分画吸収面が卵巣摘出によって有意な増加を示した。以上のことから,歯が喪失し,咬合による物理的刺激を受けない場合には,下顎骨においても,卵巣摘出によって他の骨と同様に骨吸収優位の代謝回転の亢進を来し,骨量減少を来すことが明らかとなった。
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