本研究は、リラクセーション技法を長期にわたり実施した場合の効果及び技法習得に要する期間とそのプロセスを明らかにすることを意図している。初年度は予定通り、リラクセーション技法練習用テープをはじめガイドラインの作成などデータ収集の準備をした。 今年度は、予定通りデータ収集から開始した。施設は主にF大学附属病院で実施することに決定し、選択基準をみたす被験者数名によりパイロットスタディを実施した。リラクセーションテープは対象者に快く受け入れられ測定尺度も適切であり、技法指導用の場所を確保する課題以外とくに問題はなかった。しかし、一つの病棟でデータ収集を行うために被験者間のcontamination(汚染)を避けることはできず、被験者を無作為に2グループに分けるという当初の計画は、非現実的であると判断し計画を変更した。同時に、被験者には技法習得に要する期間やそのプロセスには個人差があり他者との比較は意味がないことを十分説明することにした。今回、用いるリラクセーション技法は2種類(漸進的筋弛緩法と誘導イメージ法)あり、一方を先に実施することにした。また、データ収集は、尺度を用いた測定以外に技法習得状況を詳細に観察する必要性から調査者のみで実施した方が適切であると判断した。さらに、技法を長期間実施した場合の効果を測定するためには、それ相当の期間が必要である。どれ位の期間に限定するかにもよるが、技法を継続的に適用してもらうことをねらっていると、途中辞退する者もあり、現在、目標のサンプル数を到達するまでには至っていない。しかし、これまでのリラクセーション研究において明らかにされていない分野であるため、データ収集期間を延長して継続したい。研究計画の段階では、年度内にデータ収集を終えて論文作成をする予定であったが、データ収集の段階に止まっている。 本研究と平行し、わが国のがん看護領域で用いられたリラクセーション技法や効果については、2001年8月International Confernce on Cancer Careで発表した。
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