サポートストッキングによる脚部の圧迫は、静脈還流量を増加させ浮腫みに効果的である一方、脚末梢部の皮膚血流量を減少させ、強い締め付けを好まない女性にとっては圧的不快感を伴うことが、これまでの研究からわかっている。これらの問題点を解消するためには、レッグ部の長軸方向のみならず周方向の圧分布を検討する必要がある。 本年度の主な研究成果を以下に示す。 1.圧快適性をもつサポートストッキングのための着用圧レベルを定量化するために、20才代〜40才代の女性を用いて、大腿部、下腿部、足首部における快適圧および限界圧を明らかにした。 2.また、快適圧および限界圧には、かなりの個人差がみられ、それらの要因を分析した。 3.大腿部、下腿前面の圧感覚が鋭敏であるという実験結果等に基づいて、周方向にもループ長を制御して圧快適性を求めた健康サポートストッキングを試作した。 4.試作サポートストッキングの着用性能を検証するために、デパートに勤務する女性販売員を被験者として、浮腫みおよび疲労度の軽減に対する効果の測定と圧快適性評価を行った。 5.サポートストッキングの光沢感や透明感は、美的快適性を追求する上において非常に重要である。そこで、市販ストッキングとタイツを用いて、視感のSD法調査と光学的特性(色彩、光透過、階調輝度分布)との関係を明らかにした。 6.肌に直接触れて着用されるストッキングにおいては、触快適性も重要な問題である。そこで、構造の異なるストッキングを用いて、着用伸張状態時の圧縮特性を明らかにした。
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