研究概要 |
平成12年度(2年目)は,(1)首都圏に立地する戸建注文住宅の居住者(有効サンプル数世帯票328,個人票651)を対象とした「畳空間の住み方とその意識に関する調査」の結果のデータ整理と分析を行い,平面型の特徴,住み方,住意識の動向を明らかにした.さらに,(2)インテリア計画における新しい畳空間デザインの動向の分析を進めた. 首都圏の戸建注文住宅における,畳空間からみた平面型の特徴は,畳空間のない住宅が一定の割合(7.4%)で存在し,他地域よりもその割合は高い.平面の中に畳室を1室もつ住宅が57.1%と最も多く,2室をもつ住宅27.6%,3室以上8.0%である.平均1.4室(cf.関西圏の結果は1.7室)であり,他地域と比較すると,最も少ない.畳室1室の平面型に着目すると,玄関横の畳室と,リビングに隣接する畳室の2種の平面型に大別される.前者の室機能は客間が多く,後者の室機能は居間,客間,主寝室に分けられ,LやLDなどに隣接した第2の居間として存在することが認められた(住み方と住意識については割愛). 次世代の継承しうる生活空間としての,新しい畳空間デザインを考察,検討するために,『新建築・住宅特集(j.t)』の創刊号から1995年12月号(なお,1996年1月〜2000年12月号についても,現在データ整理分析中)の全作品1778の中から,畳空間に「新しい試み」のある住宅作品(636)を対象とし,1.畳空間構成の型分類,2.その要素空間(床の間〔床,棚,書院〕,畳〔縁の有無,敷き方,形状,色彩など〕,天井・壁〔コンクリ-ト打ち放し,和紙,ペンキなど〕,建具〔襖,障子の意匠〕,照明,空調,材料〔自然素材/人工素材,伝統素材/近代素材〕,3.起居様式等々のデザイン上の試み(約200アイテム)について集計整理を行い,その分析を行っている.
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