日本の都市住宅における今後の畳空間の平面計画とインテリア計画に資するため、大都市圏域である首都圏、関西圏、名古屋圏、福岡圏と、地方都市の熊本圏に立地する住宅の居住者を対象とし、畳空間の現況と住意識に関する調査を実施した。平面における畳室の現況については、例えば、首都圏では畳数は少なく、関西圏では相対的に多いというように顕著な地域差が認められた。畳室の使われ方については、熊本圏では畳室の接客機能が他地域よりも認められるというように地域による違いを明らかにした。畳空間に対する居住者の意識についても、地域と年齢階層などによる差異が明らかになった。畳の必要性や愛着意識などに対し、首都圏ではその薄らぎが他地域よりも認められた。しかし、全地域をとおして畳に対する根強い愛着意識の存在を明らかにした。 「畳空間の新しいデザインのあり方」を文献調査から検討し、次世代に継承しうる新しい畳空間のデザインの必要とそのあり方を提示した。さらに、新しい畳空間デザインの居住者の嗜好性を検討した結果、地域差なく、新しいデザインの受け入れが認められた。 今後の日本の都市住宅における畳空間の発展方向として、生活機能面からは、接客機能やくつろぎ機能を有する空間としての方向を提示し、そのデザインについては、伝統性を踏まえながら現代性をとりいれた新しいデザインの必要とそのあり方を提示した。
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