研究概要 |
本年度は,授業での子どもの学習過程に関するデータとインタビューにおけるデータについて再検討を加えた。そして,子どもの学習過程について考察するための枠組みについての仮説を設定するとともに,臨床的手法についての検討をした。 ・学習過程に関するデータの再検討を通して,子どもの学習過程を考察するために,社会的相互行為論の立場を援用しながら,子どもが相互行為を通して学習環境を作り出しているという仮説を設定しつつある。(「相互行為と学習」として発表した) ・子どもへのインタビューのデータの分析からは,除法概念が操作的,構造的な側面をもち,特に,操作的側面の多様性が構造的側面をもつに至る過程において,重要であることを指摘した。(「Development of concepts for division in third grade teaching experiments」として発表した) ・臨床的手法については,教授実験の仮説を修正するという考え方が授業の改造に有効であることが明らかとなった。また,子どもの学習過程から得られた分析結果とインタビューから得られた分析結果が相互補完的な関係にあり,それらを組み合わせることで,授業での子どもの様子からのデータを参照しながら,授業改造のための具体的な示唆が得られることがわかった。(科学研究費研究成果報告書,3,4,5章を参照)
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