研究概要 |
理科授業において,実験・観察という学習活動は極めて重要な意味をもっている。しかしながら,児童・生徒と教師の間には、実験・観察活動に関する認識のずれが存在しているのではないか、そしてこのことは、児童・生徒の理科授業に対する興味・関心の低下や科学的思考力・創造力の伸び悩みなど,理科授業が当面している重要な問題を生起させている要因の一つとなっているのではないかと考えられる。そこで本研究では,理科授業における児童・生徒及び教師の実験・観察活動に対する認識の実態を明らかにし,その実態についての分析を通して理科授業における実験・観察活動の問題点を考察するとともに,理科授業における実験・観察活動のあり方や指導法について検討し,実験・観察活動の質的改善のための示唆を得ることを目的とした。本年度は3年計画の第2年次であり、理科の授業実践を対象とした、実験・観察活動の実態の分析を昨年度に引き続き行うとともに、理科授業における実験・観察活動の問題点を探るための試行的調査を実施した。その結果、実験・観察の目的・方法および結果の関連について教師と児童・生徒の間に認識のずれがあることだけでなく、例えば定量的な実験を行った場合の実験結果の誤差についての解釈や処理に関する認識の点でも両者の間にずれがあることなども、重要な問題点となっているのではないかと考えられた。また、このような問題点を把握し考察していく上で、質問紙調査などをベースとした量的研究を展開していくだけでなく、授業実践事例を対象とした質的研究を深めていくことが重要な意義を担っていると考えられた。本研究の最終年次となる来年度は、理科授業における実験・観察活動の問題点,及び実験・観察活動のあり方や指導法についてさらに検討を深め、3年間の研究成果をまとめる。
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