本研究は、これまでの第二言語習得研究(コミュニケーション・ストラテジー、フォーリナートーク、意味の交渉等の研究)の成果を踏まえつつ、ネイティブ・スピーカー(NS)とノンネイティブ・スピーカー(NNS)の対話的協働活動の実態を明らかにし、そのような対話的協働活動の第二言語発達に対する寄与を検証しようとするものである。本研究は当初よりヴィゴツキーの発達理論の観点を取り入れた研究とするものであったが、同理論の観点を深めるうちに、社会構築主義的な観点や、社会実践論的な観点の必要性が浮かび上がってきた。すなわち、そもそもNSとNNSがインターアクションするということ自体が特定の社会的事実や事態を構築しつつある過程であり、NSとNNSのインターアクションを記述する際には、表面的な言語現象的な側面の記述とともに、どのような社会的事実や事態を構築しているかも記述することが重要であると考えた。そこで、そうした側面の研究方法の追求のために、本年度は主として社会実践論、社会文化理論、言語哲学の方面の研究のレビューを行った。その成果の一部は別紙のような論文の形で公表された。
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