研究概要 |
本研究は、細胞バリアの本体であるタイト結合の機能と構造の理解を通じ疾患におけるタイト結合の役割を明らかにし、治療や薬剤投与の新しい理論基盤を形成すること究極の目的とする。 本年度はBarmotinと他の関連分子のクローニングを中心に研究を勧めた。加えてタイト結合の生理機能および分子構造における各種タイト結合関連分子の機能について検討した。 1.Barmotinの構造と機能の解析 Barmotinの1次アミノ酸構造の詳細な解析により本分子にはFactin結合ドメインとPDZドメインを有するとが示唆され、これらのドメインの機能を検討するために組換えFactin結合ドメインとPDZドメインを作成し、結合機能を解析した。 2.つづいて、Barmotinのタイト結合局在の分子機構を解析するために、PDZドメインを有する酵母発現ベクターを作成し、Two Hybrid Systemを用いて結合蛋白質を探索している。 3.Occludinによるcortical actinの制御 occludinの発現により血管内皮細胞のcortical actinが制御していることを見出し、タイト結合の機能に重要な役割を果たしていることを見出した。本研究から、occludinは細胞接着依存性にタイト結合に局在する新しい機構を見出した。 4.Mid bodyにおけるBarmotinの局在 上皮細胞の分裂は、細胞間バリアの崩壊を伴わない。すなわち、細胞分裂時にも常に機能的なタイト結合は存在する。これは、Mid Body形成時においてもタイト結合が存在機能していることを反映している。その分子機構を解明する目的で、Mid Bodyにおけるタイト結合を検討した。それにより、Barmotin,occludin,claudinはMid body形成時においてもタイト結合に局在するが、ZO family分子は局在しないことを見出した。この知見は、細胞バリアの形成にはBarmotin,occludin,claudinが主体的役割を果たしていることを示す。
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