研究概要 |
脊椎動物の発生過程における左右非対称性の形成、左右軸形成を、今年度は特にその軸形成に対するレチノイン酸の効果・作用をさまざまな動物種を用いて解析した。そしてその作用が実際に発生過程において重要なものであのこと、脊椎動物広範に渡って保存されているものであることを突き止めた。特に内在性のレチノイン酸の寄与を示唆するデータは非常に興味深いものである。さらにレチノイン酸とshh(sonic hedgehog)遺伝子との相互関係をニワトリ胚およびマウス胚を用いて調べた。この関係については非常に興味深く、レチノイン酸とshhの新たな作用を見出す重要な結果として報告した(Proc.Natl.Acad.Sci. 96,11376-11381 (1999))。 左右軸形成の分野は世界でも非常に注目を浴びている分野でありさまざまな総説がかかれているが、全体を網羅したよい総説はなかなかない。そこで自分たちの新たな視点から一連の研究の内容を他の世界中の最新の研究をまとめて考察し、総説として報告した(Development,Growth & Differentiation 61,645-656 (1999))。 来年度に向けて更なる研究の発展をめざし、左右非対称性形成の興味深い実験材料としてヒラメ胚の使用を目的とし、水産庁・養殖研究所の鈴木研究員との共同研究を開始し、ヒラメ胚と遺伝子単離のためのRNAの確保など、研究の準備を整えた。
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