ノルアドレナリンニューロンは、その細胞質にチロシン水酸化酵素と芳香族アミノ酸脱炭酸酵素を持ち、小胞にドーパミンβ水酸化酵素を持つ。細胞質で合成されたドーパミンは小胞に移行し、そこでノルアドレナリンに変換される。放出されたノルアドレナリンは、元のノルアドレナリンニューロンの細胞質に再吸収され、再び小胞に移行する。また、ノルアドレナリンニューロンはモノアミン酸化酵素(MAO)を持つ。我々はノルアドレナリンニューロンにおけるカテコールアミンの代謝について調べた。MAOの酵素組織化学とチロシン水酸化酵素の免疫抗体法との二重標識法を用いて、ラット青斑核ノルアドレナリンニューロンに、ドーパミンおよびノルアドレナリンを分解するMAOが存在することを明らかにした。さらに、ラット青斑核ノルアドレナリンニューロンにおいて、MAO阻害剤投与によるドーパミンおよびノルアドレナリン量の変化を調べた。正常ラットに比較して、MAO阻害剤投与ラットではドーパミンおよびノルアドレナリンの免疫染色性が亢進した。以上のことから、細胞質で合成されたドーパミンの一部は小胞に移行し、他のドーパミンは内在性MAOによって分解されることを示唆する。さらに、細胞外から再吸収されたノルアドレナリンの一部は小胞に移行し、他のノルアドレナリンは内在性MAOによって分解されることを示唆する。細胞質のドーパミンおよびノルアドレナリンが小胞に移行するのか、それともMAOによって分解されるのか、を調節するメカニズムを究明する必要があると考えられる。
|