本年度は、研究の初年度であり、世界各国の適応型柔軟構造物の動向について調査した。9月18日より9月30日まで、川口助教授が、マドリッドで行われたシェルと空間構造に関する国際会議に出席し、膜材を用いた軽量な開閉式屋根膜構造の発表を行なった。 さらに会議に出席していた各国の柔軟構造物研究者と種々の情報交換を行なった。 会議後、スペイン国内に点在する適応型柔軟構造物の実施例を観察した。主な視察構造物は、サラゴサの闘牛場の開閉式屋根、アルコイの市民ホールの可動モニュメントと、可動エントランス、バレンシアのシティオブサイエンス内の可動構造物バレンシアの可動式地下鉄エントランス、カラスパラのピニェーロ記念館等である。特に、ピニェーロ記念館では、可動式展開構造物の開発において先駆的業績のあるエミリオ・ペレス・ピニェーロの業績についてつぶさに調査することが出来た。 11月13日より11月21まで、共同研究者のアテネ工科大学よりハリス・ガンテス博士を招き、2回の講演会を含む、可動式適応型展開構造物に関する種々の情報交換を行なった。特に、ガンテス博士の展開構造に関するレヴューは博士の長年の研究に基づく貴重なものであった。 1月9日より1月15日まで、共同研究者のケンブリッジ大学のサイモン・ゲスト博士を招き、2回の講演会を含む、宇宙展開構造物に関する種々の情報交換を行なった。特に、ゲスト博士の宇宙展開構造物に関するいくつかの基本的な概念にかかわる研究は、貴重なものである。
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