研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き,世界各国の適応型柔軟構造物の動向について調査した。5月29日より6月2日まで,川口助教授が,イスタンブールで行なわれたシェルと空間構造に関する国際会議に出席し,各国の展開構造物に関する情報交換を行なった。 さらに川口助教授が6月4日より6月7日まで,ギリシャ・クレタ島で開催されたIASS-IACM会議(シェルと空間構造の数値解析手法に関する国際会議)に出席し、特異値分解を用いた柔軟構造物の解析手法に関する発表を行ない、同会議において、共同研究者のアテネエ科大学ハリス・ガンテス博士と再会し、可動式適応型展開構造物に関する種々の情報交換を行なった。さらに、同博士より可動式構造物に関する詳細なレビューを受け取った。 川口助教授は10月15日より10月20日まで,韓国ソウルで行なわれたAPCS(シェルと空間構造に関するアジア太平洋会議)に出席し、シザーズ型展開構造物の単層スペースフレームへの応用に関する研究発表を行い、その中で、アルミニウムを用いた単層スペースフレームの設計、構造解析、モデル作成についての紹介を行なった。会議後、ソウルと全州のワールドカップスタジアムを視察した。双方のスタジアムとも屋根構造として軽量柔軟な膜構造を用いている。 さらに、2月23日より25日まで、2月15日の30年ぶりの大雪で膜パネルが大破する被害を受けたソウルのケーブルドーム(ソウルオリンピック体操競技場・直径約110m)の現場に急行し、韓国世明大学金勝徳助教授の案内で現場視察及び被災時のビデオを見ながらの調査を行なった。ケーブルドームはケーブル材と膜材に張力を導入した柔軟型の大スパン空間構造物である。
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