研究概要 |
本年度(平成11年度)は現地調査3年計画のうちの初年度に当たり,約1ヶ月(8月1日〜31日)にわたって,中国北部沿岸域を対象に介形虫相の生態調査および試料の採集を行った。 1.現地調査:中国側研究者2名,日本側研究者2名に日本の大学院生2名の計6名によって、各人調査項目を分担して現地調査を行った。(1)大連をベースに,遼東半島沿岸部を10日間かけ,海軍大連〓艇学院の車(運転手付き)によって採集調査を行った。計10地点を調査,30試料を得た。(2)青海をベースに,山東半島沿岸部を11日間かけ,国家海洋局第一海洋研究所の車(運転手付き)によって採集調査を行った。計11地点を調査,43試料を得た。これらの試料は主として沿岸岩礁地では海藻を,海浜では底質を,また,時に魚船をチャーターして沖合の底質を採集器具を用いて試料採取した。同時に各地点の環境条件を観察記録するとともに各種 の水質要素を測定し,基本データとした。 2.介形虫試料:採集物(介形虫を含む底質)はすべて2分し,一方を中国側へ他方を日本に持ち帰った。試料のすべては液浸と乾燥標本とし,現地で250meshを用いて粗水洗を行い,少量化した。帰国後,再び250meshを用いて水洗し,2種類の標本に整理・保存した。 これらの試料のうち遼東半島の試料から介形虫の抽出作業を行い,現時点で15試料の介形虫群集スライドが出来ている。目下,抽出作業に専念し,種分類を進めると共に群集解析のデータを作りつつある。従って,試料の生態的データは整理されているが,まだ介形虫そのものの研究には入っていない。
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