本年度(平成13年度)は現地調査3年計画のうちの最終年に当たり、約1ヶ月(9月7日〜28日)にわたって、中国中部沿岸域を対象に介形虫相の生態調査および試料の採集を行った。 1.現地調査:中国側研究者2名、日本側研究者2名に日本の大学院生2名と中国の大学院生1名の計7名によって、各人調査項目を分担して現地調査を行った。(1)アモイをベースに、南は汕斗、北は福州までの大陸沿岸部を2週間かけ、アモイ大学の車(運転手付き)によって採集調査を行った。計53試料を得た。(2)寧波をベースに、付近の沿岸部をタクシーを雇って、3日間採集調査し、17試料を得た。これらの試料は主として沿岸岩礁地では海藻を、海浜では底質を、また、時に魚船をチャーターして沖合の底質を採集器具を用いて試料採取した。同時に各地点の環境条件を観察記録すると共に各種の水質要素を測定し、基本データとした。 2.介形虫試料:採集物(介形虫を含む底質)はすべて2分し、一方を中国側へ他方を日本に持ち帰った。試料のすべては液浸と乾燥標本とし、現地で250 meshを用いて粗水洗を行い、少量化した。帰国後、再び250 meshを用いて水洗し、2種類の標本に整理・保存した。 3.寧波付近の調査中(9月20日〜25日)、代表者の池谷は沈陽に出向き、東北大学地質系を訪ね、譚励可教授と今後の研究について打ち合わせを行った。また、中国側分担者の趙泉鴻は上海に戻り、これまでの試料の整理を集中的に行った。 これらの試料は介形虫の抽出作業が行われ、目下、種分類を進めると共に群集解析のデータを作りつつある。従って、試料の生態的データは整理されているが、まだ介形虫そのものの研究には入っていない。また、今年度は昨年度採取した試料について、介形虫群の解析作業が行われた。
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