研究課題/領域番号 |
11691184
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大東 肇 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (80026583)
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研究分担者 |
ハフマン マイケル 霊長類研究所, 人類進化モデル研究センター, 客員教授
林 英雄 大阪府立大学, 農学部, 教授 (30128772)
小清水 弘一 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90026518)
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キーワード | チンパンジー / 薬用植物 / 薬用食物 / 抗寄生虫活性 / Trema orientalis / Senna spectabilis / Combretum molle / Anagallis arvensis |
研究概要 |
薬を持たない野生霊長類の世界では、食生活を通して疾病の治癒・軽減や予防をしているものと考えられる。本研究では、従前通り、タンザニア・マハレ山塊国立公園に棲息する野生チンパンジーを主たる対象とし、その食物選択行動の解析から、1.チンパンジーの機能性食素材の探索と含まれる生理活性成分の解明を通して、2.野生霊長類の薬用植物・機能性食物利用の存否を確かめ、また3.これら機能性化学成分をリードとし、新規有用物質の開発、を目的としている。平成11年9月〜10月にかけ約3週間の野外調査を実施した。植物種の選択は、(1)チンパンジーの非栄養的採食種、(2)非日常食種、および(3)苦味や渋味など味覚的に特性のある種の探索を基本に、(4)民間伝承薬的種の調査を重ね合わせることにより実施した。約20種の特徴ある植物を入手した。また、塩水エビを用いた簡単な生物試験を実施し、化学的研究へ昇華させるべき植物種の絞り込みを試みた。採取植物のうち、ニレ科Trema orientalisやシクンシ科Combretum molleには、すでに本研究者らにより、チンパンジーによる抗寄生虫薬的利用が示唆されており、現在それぞれの活性成分の解明に着手している。また、マメ科Senna spectabilis(大量確保)には、殺塩水エビ活性が認められ、T.Orientalisと同様、その成分分析に移っている。 次年度では、まずは、広く採取した試料の抗寄生虫(対住血吸虫やマラリアなど)、抗菌、殺虫活性などを評価する。また、食による日常的な生体の防御や体調の維持・増進には酸化ストレスの軽減が重要であるとの視点から、酸化ストレスの初発因子となるO_2^-やNOの過剰産生、さらには発がんプロモーションに対する阻害活性をも評価し、霊長類の薬用植物・機能性食物利用の実体について総合的に解析する。 なお、本年度では、上記現地調査と共に、派生的な研究として、熱帯植物中の抗酸化作用(および活性成分)や発がんプロモーション抑制作用の研究、さらには、民間伝承種よりの住血吸虫中間宿主制御物質の解明も行い、成果を挙げた。
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