研究課題/領域番号 |
11694021
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 直樹 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40240345)
|
研究分担者 |
永井 彰 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (90207960)
長谷部 弘 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50164835)
高城 和義 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00085953)
|
キーワード | RT / RW / グラスルーツ / 町内会 / 分節化 / 多層化 / 動員組織 / セイフティネット |
研究概要 |
日本の仙台市および盛岡市、DKIジャカルタのメンテアタスおよびチキニ等の定点観察であきらかになったグラスルーツの構造は、まずその中核組織である町内会およびRT/RWに関していえば、いずれも「上から」の位置づけが目立っている。そして組織的にトップヘヴィの状況であるのも似ている。しかし、ジャカルタの場合、RT/RWを機軸にして(RT/RWと)その他諸組織・団体が重層的に交錯するなかで、上からの動員組織としての性格を色濃くとどめながらも、過渡的に人びとのセイフッティネットとして機能している。他方、日本の場合、町内会の衰退はいなめず、全体として行政補完組織もしくは「なじみ集団」としてかろうじて存続しているようにみえる。日本の場合、明らかにかつて町内会がになっていた機能のかなりの部分を、ボランタリー・アソシエーションとかNPOが取って替わるようになっている。実際、RT・RWが地域のイッシューをうまく取り込んで組織の活性化をはかっているのにたいして、町内会の場合、イッシューに対処できず、組織的衰退をまねいている。たしかに、コミュニティ全体でみると、日本でもインドネシアでも諸組織・団体の分節化と多層化がすすんでいるが、それが後者ではコミュニティの統合へと作用しているのにたいして、前者の場合、コミュニティの分化に向かっているように見える。もっともこうしたそう反する傾向も、日本の側で一部町内会で「テーマコミュニティ化」する動きがみられること、またインドネシア側でRT/RWじたいの活動がパターン化し、「上から」のテコ入れに馴化する傾向がみられること等からして、決して固定的にとらえるべきではない。
|