研究課題/領域番号 |
11694101
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
今里 純 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40107686)
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研究分担者 |
五十嵐 洋一 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50311121)
青木 正治 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (80290849)
久野 良孝 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (30170020)
浅野 侑三 筑波大学, 物理工学系, 教授 (80100808)
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キーワード | 時間反転不変性の破れ / CP不変性の破れ / K中間子崩壊 / K_<μ3>崩壊 / ミュオン偏極 / 横偏極 / K_<π3>崩壊 / KEK陽子加速器 |
研究概要 |
本研究では、高エネルギー加速器研究機構・陽子加速器を用いて、荷電K中間子の崩壊K^+→π^0μ^+νにおいてミュオン(μ^+)の横偏極(P_T)を精密測定することにより、時間反転不変性の破れを探索する実験を国際協力により実施した。この時間反転不変性の破れは、素粒子物理の標準理論では起こり得ないため、それを越える新しいCP不変性の破れモデルを探り検証するのに非常に有効であるとされている。この研究はE246実験として実施されてきた研究の継続研究であるが、今年度は新たに約720時間の測定を行い、データを収集した。これと平行して、これまでに収集されたデータの解析を、これも国際協力により進めた。精密実験であるため解析は2つの独立した解析を行い、それらの結果を統計処理で結合する方法をとった。初期に収集されたデータに対して、P_T=-0.0042±0.0049(stat)±0.0009(syst)の結果を得た。これは零からの差異がなく、時間反転の破れが実験精度の範囲ではないことを示している。この結果を、より普遍的な破れのパラメタImξで記述するとImξ=-0.013±0.016(stat)±0.003(syst)となり、従前のリミットを50%改善したことになる。これを論文として発表した。さらに解析方法に改良を加えて、最近されたデータの処理を続けており、来年度にその結果が得られる見通しである。時間反転不変性の問題の他に、収集されたデータを使っていくつかの崩壊モードの研究がされた。そのうちの一つK^+→π^+π^0π^0崩壊では、スペクトルの解析からダリツプロットパラメターを精度よく決定することができ、これも論文として発表した。
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