研究課題/領域番号 |
11695008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
利島 保 広島大学, 教育学部, 教授 (20033566)
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研究分担者 |
鳥光 美緒子 広島大学, 教育学部, 助教授 (10155608)
樋口 聡 広島大学, 教育学部, 助教授 (30173157)
坂越 正樹 広島大学, 教育学部, 助教授 (80144781)
藤川 信夫 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (10212185)
小笠原 道雄 広島文化短期大学, 教授 (10053612)
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キーワード | ポストモダン / 環境教育 / メディア / ミメーシス / 芸術教育 |
研究概要 |
日独共同セミナーによって以下の諸点が明らかになった。 1.教育学におけるポストモダン:ドイツ教育学では80年代初頭、理性構想の相対化の主張があり当初激しい論争があったが、その後十数年間に、ポストモダンは受容され浸透している。他方、日本の教育学におけるポストモダニズムは、学会でのシンポジウムが行なわれる等総括の段階に入ったとはいえ、その情報源の多様性及び克服されるべき当の近代教育学に関する自己規定の不明瞭性故に、なお非生産的な状況にある。 2.環境と教育科学:ドイツでは、環境問題に関する知識が必ずしも環境保全の行動に結びつかず、従って、経済や生活スタイル、個人や集団の理想といった環境保全の行動を引き出す諸条件に関する考察が進められている。知識を行動にいかにして結びつけるかという問題に関しては、体験や感性を重視する日本の道徳教育の問題との接点が明らかになった。 3.美学(感性)と教育科学:ドイツにおいて、この領域における研究は、近年特に自己形成に及ぼすメディアの影響という点で具体化してきており、例えば異なる宗教を持った青少年が映像メディアを通じて死の事実をどう受け止めるかといったテーマでの研究が行なわれている。また、90年代はじめから美学の観点を導入した新たなタイプの学校実験が開始され、現在その有効性の検証が行われつつある。この実験と類似した構想を持つ実践は、80年代日本においても演劇教育の分野で見られるため、双方の比較が今後必要である。その際、4のミメーシス概念による分析が可能であることが明らかになった。 4.身体と教育科学:ドイツでは、単なる美学概念及び単なる「模倣」ではなく、身体的行動の演出のために役立てられる創造的な能力を示す人間学的概念としてのミメーシスが今日改めて重要視され、理性概念を基盤に据えた近代教育の克服が試みられている。
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