研究課題/領域番号 |
11695008
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
利島 保 広島大学, 教育学部, 教授 (20033566)
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研究分担者 |
樋口 聡 広島大学, 教育学部, 助教授 (30173157)
鳥光 美緒子 広島大学, 教育学部, 教授 (10155608)
坂越 正樹 広島大学, 教育学部, 教授 (80144781)
藤川 信夫 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (10212185)
小笠原 道雄 放送大学, 広島学習センター, 教授 (10053612)
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キーワード | ポスト・モダン / ミメーシス / 異文化理解 / 価値教育 / 芸術教育 |
研究概要 |
平成12年9月25〜27日、海外共同研究者(G.ゲバウアー、ベルリン自由大学教授、Ch.ヴルフ同教授、S.ヘデニック同助教授)を広島大学に招へいし、セミナーを開催した。ドイツ側からは、今日的教育科学の課題として「異文化間の媒介可能性」 「死のタブー視(重態病児とのコミュニケーション)」「教育科学研究とパフォーマンス」の問題が提起され、日本側からは「美学と教育学のミメーシス的可能性」「ポストモダン状況下の価値教育」「日本の総合学習とドイツの芸術実践プロジェクト比較」問題が論じられた。研究討議の結果、日独に共通する現代教育の論点として、言語的・非言語的メディアの問題、とりわけ非言語的タブー、身体技法、ハビトゥス、儀礼といった社会の基底的側面に注目すべきことが確認された。 また、日独双方での資料収集・分析の結果、以下の点が明らかになった。1.文化と文化との「間」領域は存在せず、「自由な出会いの空間」という主張は、フィクションとして作用しているため、文化と権力の関係を問い直すことが必要である。2.ミメーシス概念は模倣と習熟を通して「学び」の復権につながる可能性を有している。3.日独の具体的教育実践として、学校に芸術家、スペシャリストの参加を求めることは、子どもと大人の出会いを通して教師-生徒関係を再構築するために有効である。4.子どもの成長にとって、とりわけ身体技法や価値意識に関して、家族や共同体は依然として大きな作用を及ぼしている。しかし、ポストモダン的状況下で変容解体した家族や共同体に従来通りの教育的作用を期待することはできず、それに代わる新たな人間関係の構築が求められている。
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