本研究の目的の1つは、平均曲率流方程式のDirichlet型条件の場合の初期値境界値問題を非凸領域のときに解決することであった。 この問題が未解決である原因は、端的に言って、(非凸な)境界の近傍では順序保存が成り立たないために解の導関数のa priori評価が自明でないことにある。そこで本年度の研究では、数値実験によって解の挙動を調べることから始めることとし、ある具体的な領域の場合について近似スキームを作成して一定の(肯定的な)実験結果を得ることができた。 ただし、この近似スキームの妥当性に関する証明(適合性、安定性、収束性)はまだ部分的なものであり、十分な検討を行いえていない。この点をさらに明確にし、数学的な結果を得ることが次年度の目標となる。
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