研究概要 |
コーヒー豆流通の自由化、国際化の結果、農村における小農民からの直接的買付にまで、民間流通業者(ほとんどが多国籍企業)が参入を果たした。しかしながらそれら民間業者は・、農村においても競売所においても、自由競争を避けている(共謀している)。それゆえコーヒー豆の生産者価格は上がらず、しかし投入財(特に農薬)価格は補助金廃止にともない高騰した結果、コーヒー栽培を放棄する小農民が増えている。この危機的状況に陥ったコーヒ-産業を再生させるため、以下の農村協同組合の役割が期待される。 組合の第1次支払額は、民間が支払う生産者価格の下限として機能しているので、組合第1次支払額の引き上げが、民間生産者価格の上昇に貢献する。そのためには組合連合会による銀行借入金の十全なる確保が求められる。しかしながら自由化にともない、民間商業銀行からの借入が困難となり、連合会は自らの銀行設立を余儀なくされた。 この協同組合銀行の機能が十分に発揮され、さらに連合会総会において、単協代表による小農民の必要性を価格に反映させる努力がなされれば、組合第1次支払額、民間生産者価格の引き上げの可能性が生じるだろう。 組合が支払う生産者価格を引き上げるためには、競売価格の上昇が求められる。そのためには、競売における民間の所有権不移動取引を制限する必要がある。 その手段として、組合連合会の買付力(連合会の買付シェアは 56.6 %に低下)と輸出力(連合会の輸出額シェアは1-2%に過ぎない)の増強を挙げることができる。つまり連合会の買付シェアを回復させ、連合会→民間の所有権移動取引を強化する、およびそれが容易に移動しないように、連合会が競い合えるだけの輸出シェアを確保する, という方向で、購入競争を促す必要がある。
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