研究概要 |
本研究の目的は,大規模で高性能な回路の高信頼化に必要なテストパターンを生成するための,高機能テスト生成システムの開発である.平成11年度は,次の3つの課題を中心に研究を遂行した. (1) 基幹テスト生成アルゴリズムと故障シミュレータの実装 (2) 大規模回路に対応可能なテストパターン最小化手法の開発 (3) 遅延故障用テスト生成アルゴリズムの考案 まず,(1)に対しては,大規模回路に対して計算に必要な記憶容量が爆発しないように,アルゴリズムとデータ構造を工夫して,プログラムを実装した.故障シミュレータについては,想定していた程度の性能のものを開発できた.テスト生成アルゴリズムについては,一部の機能に更なる最適化が必要であり,来年度継続して取り組まなければならない課題である.(2)に対しては,大規模回路にも適用可能なテストパターン最小化手法である二重検出法を実装した.これは,故障シミュレータに処理の大部分を依存するもので,大規模回路にも高速に処理が可能である.また,圧縮テストの生成手順全体についても,より最適なものを開発した.(3)に対しては,遅延故障の最も簡略化された故障モデルであるトランジション故障について,テスト生成アルゴリズムの考案を行い,プログラムのプロトタイプを作成して評価を行った.特にテストパターン最小化については,静的圧縮と動的圧縮の両方のアプローチから新しい手法を提案し,それらが従来手法より有効であることを確認した.
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